書籍「遠い声をさがして」(石井美保著)出版のお知らせ
2022年6月14日、友人で文化人類学者である石井美保さんが事故以来の経過をまとめてくれた「遠い声をさがして 学校事故をめぐる<同行者>のたちの記録」が、岩波書店より出版されました。
石井美保さんは、事故後からずっと僕たち夫婦に寄り添って一緒に動いてくれていますが、私たちの想いを代弁するということではなく、同行者として見たもの、感じたことを書いてくれました。
事故のこと、その後の学校や教育委員会の対応、第三者委員会の調査、自主検証の内容までと、膨大な資料と照らし合わせながら、文化人類学者としての視点も持って書いてくれたものです。
羽菜の声を求めて動いてきた私たちの10年間の記録です。
事故を忘れさせない、風化させないための記録でもあり、本当にありがたいことです。
自ら進んで膨大な資料をまとめこの本を書き上げてくれた著者に、心から感謝します。
(岩波書店サイトより)
小学校のプールで失われた命。なぜ、どうして、事故は起きてしまったのか。受容と忘却の圧力に抗い、「その時」に迫ろうとする両親と同行者たちの苦悩と行動。そこから浮かびあがる学校や行政の姿。同行者の一人として出来事にかかわった文化人類学者が、多声的な語りから亡き人とともに生きることの意味と可能性を考える。
■推薦コメント
もう放心状態だ。会ったことのない羽菜ちゃんの姿が、心の中で像を結び始めている。まさか読後にこんな世界が待っていたなんて。
たったひとりの子どもを失った両親の、癒えることのない痛み。学校も行政も、日常の回復を急ぎ、その痛みから離れていく。これはまるで私が生きる社会の鈍さそのものだ。だから私も探す。羽菜ちゃんの声を。どれほど難しくても、生のあかしを、その温度を。
――藤原辰史
■著者紹介
石井美保(いしい みほ)
1973年、大阪府生まれ。文化人類学者。北海道大学文学部卒業、京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程修了。宗教実践や環境運動をテーマにタンザニア、ガーナ、インドで調査を行う。現在、京都大学人文科学研究所准教授。主な著書に『環世界の人類学』(京都大学学術出版会)、『文化人類学の思考法』(共編著、世界思想社)、『めぐりながれるものの人類学』(青土社)などがある。第14回日本学術振興会賞受賞(2017年)、第10回京都大学たちばな賞受賞(2018年)。
書籍「問わずにはいられない」出版のお知らせ
みなさまへ
学校事故・事件の21事案について、遺族や家族がその内容や経緯を書いた本ができあがりました。
事後対応の詳細も含め、実際に起こった「事実」を、一人でも多くの方に知っていただくことが本当の意味での再発防止に繋がると信じ、我が子への想いを込めて、皆さんが必死に書かれたものです。
私たちもその一家族です。羽菜がどれだけ大切で大事で、かけがえのない娘であったかを、二人で書きました。
本の内容は
・第一章 「いじめ」(7家族)
・第二章 「事故・事件」(9家族)
・第三章 「指導死・指導被害」(5家族)
という三部構成になっています。
突然の事故や事件に巻き込まれた家族が受けた衝撃、我が子がどうなったのか、何を思いどう行動したのかを知りたいという願い。
また事後対応の中で思いもよらず遭遇した苦悩など、当事者しか書けない生々しくリアルな記録の連作となっています。
ぜひ手に取ってお読みいただきますようお願いいたします。
今ならアマゾンからもご購入いただけますし、まだ当方の手元にも数冊ございますので、ご希望があればお分けすることができます。
ご希望はメールにて承ります。
メールタイトル「「問わずにはいられない」希望」として
1.お名前
2.ご住所
3.お電話番号
をお書き添えのうえ、hanatotomoni2006@gmail.com 宛にお申し込みください。
また、多くの方にこの本を読んでいただけるような施設やお店などがあれば、私どもから寄贈させていただきたいとも考えております。
もしなにかご提案やアイディアをお持ちの方がおられれば、ぜひご連絡をいただければ幸いです。なにとぞ、よろしくお願いいたします。
(浅田羽菜 両親より)
「問わずにはいられない 」(手のひらの宇宙BOOKs)
21の被害者家族著・田原圭子編集
定価 1,296円
単行本(ソフトカバー) 256ページ
出版社: あうん社; 初版 (2015)
ISBN-10: 4908115044
"私は、事故事件情報は当事者だけのものではないと思っています。よりよい明日を築くための私たち社会の財産です。事故事件はどれ一つ同じものはありません。一方で、多くの共通点もあります。
もし最初の事故事件から私たちがきちんと教訓を学び取っていたら、次の被害は防げたのではないでしょうか。同じように、このことをしっかりと後世に伝えなければ、同じことが繰り返されるでしょう。
加害者になってしまう前に、被害者になってしまう前に、子を失う前に、広く多くの人たちに読んでほしいと思います。
(武田さち子「はじめに」より)"