■生きる

みなさま

8月ももう終わり、少し過ごしやすい気候にはなってきましたが、いかがお過ごしでしょうか。

今回は、この間少しお話ししたとおり、この夏に作成した映像についてお伝えします。

 

谷川俊太郎さんの「生きる」という詩があります。

岡本よしろうさんが絵を描かれた絵本もあるので、ご存知の方もいらっしゃるかもしれません。

この詩をテーマに、映像作家の山城大督さんと野田智子さんにご相談しながら、短いビデオを作成しました。作曲を担当してくださったのは、野村誠さんです。

 

ビデオの中では、3才から60代までの幅広い年代、性別の方々に、詩の言葉を一文ずつ読んでもらっています。

そこに、日常の一瞬一瞬が小さな輝きとともに零れ落ちてくるような印象的な映像と、そんな瞬間を細い糸でそっとつないでいくような優しいメロディが添えられました。

その中で美しくつよく立ち上がってくる詩の言葉。

声は、読む人ひとりひとりの「存在」そのものを顕す力をもっていると感じます。

 

このビデオは、小学校で毎年プール開きの時期に行われている「誓いの集い」でこれから毎年上映していただく予定です。

この集いは、学校が羽菜のことを忘れず、二度と事故を起こさないことを子どもたちに誓う会として行われているとお聞きしました。羽菜がどんな子だったか、学校のプールで何があったのかについても、校長先生から話してくださっているようです。

事故から10年、当時の先生はもう誰も小学校におられません。事故の記憶や安全への意識は引き継がれていくだろうと期待してはいますが、それに加え、先生たちの異動があっても、一貫して私たちの気持ちを伝えられる何かがあればと考えて、このビデオを作成しました。

 

日常のなにげない些細な瞬間、目の前にある「いま」が私たちが生きるということのすべて、誰にとっても大切ないのちの時間なのだということを伝えられればと思っています。

小学生の子どもたちにはすぐにはぴんとこないでしょうが、毎年観るたびになにか少しでも感じることがあれば、もっと大きくなったときに「そういうことか」と思い当たることがあるかもしれません。

事故や羽菜のことに直接触れるものではないのですが、そこにつながる両親の気持ちを感じてもらうことができればとも思います。

このビデオは、「羽菜の会」でも上映する予定です。

詩の著作権の関係もあり、広く公開することは叶いませんが、ぜひみなさまにもご覧いただく機会があればと思っております。

ご覧になった方には、ぜひ感想もお聞きしたいところです。

どうぞよろしくお願いいたします。

 

浅田 羽菜 両親