9月5日、京都市教育委員会と私たち両親の共催による「京都市立養徳小学校プール事故調査報告書」説明会を開催いたしました。それについて、両親からもご報告いたします。
ご存知のとおり、この第三者調査委員会は、両親が多数の方のご署名をいただいて要望に動き、教育委員会の協働を得て設置が叶ったものです。先日の説明会は、調査期間の1年間が終了して調査報告書の提出が行われたことを受けて、その結果をご報告すべく行いました。当日お集まりいただいた方は66名、配布したアンケートの集計結果によれば、およそ3分の1が養徳学区の方、市内のみならず府外からお出でいただいた方もいらっしゃいました。雨の中をお集まりいただいた方々には、あらためてお礼を申し上げます。
説明会では、市教委の体育健康教育室室長と父親からの挨拶のあと、市教委の担当者が報告書全体の概要を説明し、最後に母親が報告書についてのコメントを行いました。
父親からは、調査にご協力いただいた方々と事故以来ずっと関心を持ち続けてくださる方々へ、また常に協働してくれた市教委と、調査に労力を注いでくれた第三者委員会への感謝を述べ、しかし同時に、報告書に感じている残念な思いをお話しさせていただきました。その思いは、羽菜の溺水までの空白の数分に関する認定の根拠が明確でないと感じることによるものです。母親からは、その両親の疑問についての説明を詳しく行いました。
私たち両親が報告書の受け止め方について話し合い、この説明会に対しても心がけてきたことが一つあります。それは、あくまで「報告書に対して」ものを言う姿勢を持ち続けることです。報告書の提出を受けて後、私たちはそれに対する再検討チームを立ち上げ、報告書の文言についての質的側面からの検討とともに、数量的・科学的側面の検討を進めていますが、その再検討においてもこの姿勢は同様です。ですから、説明会でお話した、質的検討によって生じた疑問も、数量的・科学的検討によって生じた疑問も、原則としてはすべて報告書に記載されている記述や、数値を基としていることをご理解いただければと思います。
説明会では、なんとかわかりやすくその内容が説明できればと思いましたが、特に数量的・科学的側面については、再検討の複雑な内容を簡潔に説明することはできませんでした。反省しきり…。詳細についてはこちらにアップしてある資料でご確認いただければ幸いです。(報告書の全文は、両親のコメントとともに京都市教育委員会のHPにPDFの形で上がっています)。
第三者調査委員会に対しては、解散までの期間中に、その疑問を問いかけてきました。委員会への批判ではなく、報告書に対する疑問を示し、それに対する応答を求める動きを続けてきたつもりです。委員会の委嘱期間においては、そのすべてに対する十分な回答をいただくことはできませんでしたが、既に報告書は提出されました。これからは委員会が主張されてきた「独立・中立・公正」にこだわる必要はありません。数量的・科学的側面の検討を行ってくれた若き研究者が、科学の進歩において問いかけに応答することの重要性を話してくれましたが、私たちもそのことを強く思います。委員のみなさまが、今後はそれぞれの専門領域におけるプロフェッショナルとして、個人として、私たちの疑問に応答していただければと願っています。
これから私たちのしていくこと…今後は、教育委員会にもご協力をいただきながら資料を集め、自分たちでなんとか検証を続けていくつもりです。
なんのために?
説明会でもお話をしましたが、ただただ羽菜の声を聴きたい、あの子に少しでも近づきたいという思いからです。あの子はもういない、なにをしても帰ってこない、それなのになんのために?それを一番問いかけているのは私たちでしょう。
一人で逝かせてしまった私たちの娘。今もそれが悔しくて悔しくてたまらない、あの子と別れねばならなかったことを受け入れることなどどうしてもできません。
それだからこそ、せめてそこにきちんとした説明がほしいと願っています。
長くなりました。みなさまには事故の直後からお見守りいただいただき、民事訴訟の際も、第三者調査委員会の設置の際も、調査の際も、様々にご協力やお励ましをいただきました。ここにまた、調査報告書についての思いを聴いていただいたことに、あらためてお礼を申し上げます。今後も両親の動きをお見守りいただければ幸いです。よろしくお願いいたします。