■地獄の日々

 一番したくないことは、あの頃の自分の気持ちを思い出すことです。

 あの子の姿や表情は、どんなにつらくても痛くてもずっと思っているし、思っていたい。でもあの子といたときの自分、愛おしさや誇らしさ、喜びや楽しさ、心強さにあふれていた幸せな自分を思い出すことは、つらくて苦しくて、どうにも恐ろしい、たまらないことです。 

 まったく世界が変わってしまって、過去とはつながれない。あの子がいないままの未来も意味はない。過去も未来もなくて、バラバラの目の前の現実をただなんとかやり過ごしているだけ、まさに、時間は止まっているという気がしています。

 

 その意味で、今は「地獄なのかも」と思うこともある。過去も未来もなく、ただ繰り返し苦痛を与えられ、蘇っては殺され続けるという地獄って、こういうものなのかなと思うからです。

 

 私たちはとても恵まれていると思います。周りにとてもあたたかい人たちがいて、支援があって、導いてくれる人たちもいる。

それでも、どうしようもなく、そんな気持ちを抱えています。